夜。神戸に着いた。静かな新神戸の駅は、雨の匂いがした。

歩き慣れないその街で、うろうろしていると、
工事や、交通整理をしているおじさんが、その土地の言葉で、
話しかけて、丁寧と言うより、親しみをもって、話しかけてくれた。

その言葉が、見知らぬ人に使われる言葉より、
もっと、親しみがあって、なれなれしくなくって、
その今困っている人を、今その人が知っていることがあるから、
それだけをただ、伝える。
ということが、すごくシンプルにそこにあって、思わずにこにこする。
私も住む東京では、明確に、私の土地の言葉という物を持たない。
だから、そこの土地の言葉を持ち、話す、
ということに、とっても、羨ましいと思うんだよ。

なんだか、違う土地に来たって、旅をしていると、自覚する。

歌を、私は歌って、出逢った遠くの人たち。
これは、考えれば考えるほど、ものすごい宝物です。

エスカレーターで、エレベーターで、自分が動かずとも、
動いている自分。

戸田ちゃんと作った『歌う小鳥のテーマ』は、歌うと、ものすごく幸せになる。

ホテルに着く前に、コンビニエンスストアによった。
りんごジュースと、野菜ジュースを買った。
私の前で買い物をしたお兄さんは、ナポリタンを温めてもらって、
がさつに、受け取ってお店を出た。

ホテルに着くと、そのお兄さんが、いらっしゃいませと、丁寧風に、挨拶した。

人は、どこで、人と、すれ違っているかわからない。

いつ何時も、丁寧に生きていたいと、思った神戸の夜。

2006年2月9日NUU



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