私よ、私をせめること、なかれ。 私よ、私をせめること、なかれ。 花を見ていると、花を見ていると、 切なさに胸の奥が、誰かの手で、しめつけられる。 あの人の気配が、漂っている。 どこにいても漂っている。 あの人の目が、私を見ていない。 どこにいても見ていない。 静かに息を整えて、踏み出す足を確かめて、 重心を知る。 今どこにいて、何をして、私はいるのか。 この日は、もう二度と無く、 この日は、いつかの素晴らしい日に、 私をつなげてゆき、私をつなげてきた。 何も想い出に残らない大したことのない日。 何も想い出にしない大した話をしなかった日。 何も想い出にするつもりのない大したことをしなかった日。 そんな日だらけで、日々が年になり、私は、おばさんへ、おばぁさんへ。 散歩中のおばあちゃんが、手を握って、会えて嬉しいです。といった。 友達のカフェで、あやちゃんが、髪伸びたね。といった。 八百屋さんで、朝もぎたていちごを買って、はい、400円ね。とおじさんに言われた。 父の面白い顔の真似をして、げらげら、天井を見上げながら笑った。 友人に電話をして、あなたといると、とても楽しいし、らくちんだよ。ありがとう。といった。 夕飯を食べた後、西表の黒糖を口の中で溶かしながら食べた。 今夜は早く寝ようと、きめて、夜更かしをしている。 色が色々。色が色々。 桜が散って、八重桜へ。 新築中の家の前で、おばさん二人が、建坪率が、もうぎりぎりここまできているでしょ。といった。 差し押さえされていた大きなお屋敷が、ついに壊され初めて、空が広く見える。 あん!あん!とほえる子犬に、女の子が、あんこが好きなの?と聞いた。 あいつ逃げたぜ、と、男の子が女の子にいった。 電話越しに友人が、映画を見に行こうよ近いうちに。といった。 郵便局のおばさんが、お次お待ちの方、こちら、どぞ。といった。 車の切り返しが下手なお母さんが運転するバンの助手席にいる女の子と目があった。 雑貨屋さんのおじさんに、歌、ちゃんとやってんの?と聞かれた。 あそこに商品でているだけですねー。と、店員さんに言われた。 友人のお母さんから、絵はがきが届いていた。 奄美大島のたんかんジャムを朝は、パンに塗った。 タマネギを薄く切ってオニオングラタンスープと、決めて作った。 それぐらいの日だった。 それぐらいの日だった。 たった、それだけのことだ。 2005年4月18日NUU |
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